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オーロラ・シャクティ

Author:オーロラ・シャクティ
オーロラ・エナジー日記にようこそ!
瞑想と家族を愛し、セラピストとして豊かな経験を持つBodhini(ボディーニ)と、その仲間 Jnana(ニャーナ)の日々の出来事です。


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こんにちは、加藤るり子です。今日もお邪魔しますね。

前回、草間弥生を取り上げ、
絵を描かざるをえない衝動について見ていったけど、
本当にこうした画家さんは多いんだよ。

病跡学(パトグラフィー)という学問があるんだけど、
これは天才と呼ばれる人物を精神医学および心理学の観点から
研究・分析する学問なんだ。
つまり、簡単に言うと、
天才の芸術家を心の病や狂気という視点から解析するということかな。

病跡学の対象となる有名な画家では、
ゴッホ、アンソール、ムンク、ユトリロ、ダリなどがいるね。

エドヴァルド・ムンクの「叫び」もみんなはよく知っているけど、
この絵は、精神医学の観点から見ると、統合失調症の前駆期、
つまり症状が出始めの頃によく見られる世界没落体験を
表しているとも言われたりもしているんだ。
また、ダリは精神病質(偏執狂)、ユトリロはアルコール中毒の
典型的な絵として研究されているね。
確かに、ユトリロの絵は、人物が全部後ろ向きでしょ? 
アートセラピーの観点からも、自分や人への不信感、
自己肯定感の欠如を抱えていたという見方ができる。

今日は、病跡学からの観点から、
スロヴェニア共和国の画家ヨージェ・ティスニカルを紹介するね。
まずは、彼の作品と言葉を見てみよう。
どう感じるかな?

せんもう
「せん妄」

「アルコール中毒だった私は、
とうとう精神病院の院長にアルコール中毒による禁断症状のせん妄
(意識混濁を伴う幻覚が現れやすい心の状態)を改善するため
入院させられた。入院中、アルコールが薄れていくとひどい苦痛に
悩まされ、地獄の責め苦を受けているようだった。
亡霊が私のまわりにただよい、化け物がからかうように私につきまとい、
逃げようと思っても逃げれない。心は奈落の底…」

彼の絵には、小さな昆虫や得体のしれない小動物がよく出てくる。
これは、アルコール中毒の禁断症状のときに表れてくる
典型的な幻視の症状なんだよ。
壁や柱の隅、天井の一角から小さい昆虫などが塊となって
湧いてくるのが見えたり、すさまじい恐怖感が湧きあがってくる。
この「せん妄」の絵にも、幻視が現れているね。

幽霊
「幽霊」

「精神病院はアルコール中毒患者でいっぱいだった。
助けを求めているのは私だけではない。
同室の患者たちは恐怖におののきながらも、
絶望の淵からはい上がろうと努力していた。
夜は、寝れずにいた。
周りにいる患者たちは泣きわめき、
彼らに襲いかかる目に見えない暴力や化け物から身を守ろうとしていた。
無力さや恐怖心や孤独でいっぱいだった。
…あざけりながらやってくる幽霊たちは
毛深く裸のままで白い粉を振りかけられたようであった。
私は、自分を守るのが精いっぱいだった」

このティスニカルは、病院の死体解剖の部署に勤務し、
8000体以上の遺体解剖に立ち合ってきた。
家族や友人のいない孤独な彼は、精神的な苦悩からアルコール中毒に、
そして自殺未遂を何回か繰り返し、その中で、絵を描かざるをえなかった。

マリボル
「マリボルのせん妄」

「これは病院に入院して2,3日目…描かずにはいられなくて、
…1秒たりとも待ってはいられなかった…それは私の意志というよりも、
何か強い衝動が私を突き動かしていた。
ベッドの上から、ゆらゆらと煙が立ち上るのを見た。
突然煙の中から幽霊が現れた。幽霊は言った。
『おまえは解剖台の上に寝かされているのが解らないのか。
次はおまえが死ぬのだ』。
そのとき幽霊は私を見て、あざけり笑った」

ティスニカルは、ほかにも、解剖した遺体と対話しながら、
死に関するいくつかの絵を残している。
絵から彼の日々の心の闇や心境を読み解くと、
人って、同じ地球に住んでいながら、
こんなにも苦しい世界を現実としてながめ、
生きているのかとしんどくなるね。
だけど、それがゆえに、生きることの意味について
深く考えさせられる強烈な作品を彼は死ぬまで描き続けたんだね。

これから、いくつかの彼の作品を紹介するね。

病気の黒い影
「病気の黒い影」

「コウモリは何だろう? 
コウモリは、すべての人間の頭上に舞う病気と死の黒い影である。
ふだんわれわれはその影を気にもとめていない。
それでもなお、時々、何かおそろしいものがやってくる
という不安に脅かされるときがある」

人海
「人海」

「死体は昼夜かまわず、私の解剖室に運ばれてくる。
あるときは一人、3人、5人、あるいはそれ以上である。
死者の処理をしているとき、私は死んだ人がまだ生きているような気がする。
彼らは去年は何をしていたのだろうか? 
彼らの最後の望みは何だったのだろうか? 
死体を前に、目を閉じた途端、彼らの姿が浮かぶ。彼らは人海のようだ。
順ぐりに現れては、ロウソクの炎を消し、この世から消えていく。
何一つない地平線の空に…」

今日は、ティスニカル本人の絵と言葉から、
アートセラピーの軌跡をたどったよ。
絵は、彼にとって、自分の不安、絶望、孤独、悲しみ、怖れ、
苦しみといった葛藤や苦悩と戦うための手段だったんだね。
そして、彼は絵によって、自分の描かざるをえない苦しさを
心理的に昇華することに成功した。
まさに、アートセラピーの実践的な適用例と言えるね。

見ていてしんどくなるほどの重苦しさだけど、
その奥に、人としてのいとおしさを感じる、
私の大好きな画家だよ。
最後に彼の「自画像」をプレゼントするよ。

自画像
「自画像」

それでは、またね!
愛を込めて。

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