こんにちは、加藤るり子です。今日もお邪魔しますね。
今日は、草間彌生について見ていくね。
かの有名な、そして時代の寵児である83才の女流画家だよ。
みんなも知っているよね。
彼女は、水玉の世界を描き続けているね。
近頃では、ルイ・ビトンとのコラボが有名で、
9月の末には、NHKスペシャル「“水玉の女王”草間彌生の全力疾走」や、
NHK Eテレの「ユーミンのSuper Woman」でも取り上げられていたね。

まずは、彼女の作品を紹介するね。
畳2畳分くらいの大きさがあるんだけど、
これを1日で仕上げちゃうパワーを今も持っているんだね。
すごいね~ ホントに超人的なエネルギーだね。
執念にも近い強迫的な描き方だけど、
「生きたい」というエネルギーを爆発させて叫んでいるのが伝わってくるね。
だけど、同時に執拗なまでの圧迫感。
何から逃れたいのか、描かざるをえない苦しさも感じるね。
絵の中でしか生きることを実感できないしんどさ…。
実は、この草間彌生は、自分でもNHKで言ったように、
不安神経症、強迫神経症という病名がついているんだね。
また、幼少期から幻覚や幻聴体験にさいなまれ、
自殺しないための方法として絵を描く表現があったんだね。
本人の言葉を紹介するよ。
「私自殺しそうなの。どうしよう」
「自殺の恐怖で不安がいっぱいなの」
「くらくらっとしても、絵を描くとすーっとよくなるの」
「幸福なのか、不幸なのか、絵があったから生きていられたのよ」
生きていくために必要な絵。
生命の叫びだったんだね…
たまたま、私の恩師が、彼女の精神科の主治医だったこともあり、
彼女にはなじみがあるんだ。
今日は、彼女の絵から、心の闇からはい上がるため描かざるをえない、
絵を必要とせざるをえないアートセラピーの深層について見ていくね。

画家の中には、描かざるをえないから描く画家がいる。
彼女も、くずれそうな心の堤防を守るために、
必死で強迫的に、生きるために描き続けなくてはならなかった。
目の前には自殺…。
自殺への不安。
死にたいと思う強迫的な衝動…。
水玉模様のモチーフは生まれ続けなければならない…。
病から焦点が移り、制作しているときにだけ感じる創造性や集中力、
そして静けさ…、
つかの間の正気。
私の長い精神科臨床の中で、統合失調症やうつ病、
パニック症害や強迫神経症、適応障害等、心の病に冒されている
たくさんの患者さんたちが絵を描いている場面を見てきたけれど、
鬱積したストレスや自己の挫折体験、抑圧された内的エネルギー
を原動力にして絵を描かざるをえない患者さんたちと
たくさん出会った。
紫色だけしか使えない患者さんや、
ため息交じりに鉛筆で精密に風景や静物画を描かざるをえない患者さん、
リストカットの血液と思われるような苦しい破壊的な状況を絵にする患者さん、
モチーフとして自分の幻覚妄想状態を描く患者さんや
草間彌生のように強迫的に乗っ取られたように
同じモチーフを繰り返す患者さんたちがたくさんいた。
自分の狂気を反芻し、すさまじいエネルギーでどこに突破口があるのかを
絵によってまさぐっている場面に出会うこともしばしばだったよ。
絵が上手とか、下手とか関係なく、
自分の内に鬱積した屈折したエネルギーを吐き出していた。
そんな彼らを見ていると、どんな絵にも、
絵は一筋の光へと導くエネルギーがあるんだっていつもいつも感じていた。
私も若い頃、うつ状態になったとき、
太陽と自画像を描かざるをえなかった…
太陽は暖かさを求めて、エネルギーがほしかったからね。
そして、自画像は自分が誰だかわからない、
自分とは何かを探究する道具だった。
何枚も何枚も描き続ける中で、私は絵からエネルギーをもらい、
自分の弱さを認め、闇から地上に抜け出すことができた。
そして、あのときの絵を描く執念は、
生と死のはざまにありながら生や光を希求する草間彌生にも
通じるものがあったなって思うよ。
私の場合は、太陽と自画像だったけど、
草間彌生の場合は、それが「反復」と「増殖」と呼ばれる水玉。
彼女もまた、そうと意識せず、
アートセラピーを自らに適用させてきたんじゃないかな。
そして、アートセラピーの原点は、
1.この鬱積した情念のパワーを発散し浄化することができること。
2.心の闇を色や形を通して画用紙に絵として表現すること。
つまり、闇を絵として地上に出してあげること。
3.表現し続けることで、治療につながること。
それは、描くだけで癒されたり、描くことで自分が見え、
フィードバックされ、自分自身が変容する可能性があるということ。
これらがアートセラピーの醍醐味だね♡♡♡
いいね~ 絵って(独り言)
そして、絵を通して自らの浄化や治療、
また成長に向かう道には、道連れがいるんだよ。
絵を通しての探究心。それにね、絵に対する信頼とね、あとは、
「ちくしょう」と思うくらいの生きることへの飽くなきエネルギー。
その道連れが一緒にいる限りは、安心していいんだ。
描きたいと思うエネルギーを画布になぐり描いていけばいい。
エネルギーは無尽蔵だよ。
下手でも、上手でも、そこに差はない。
何を描くかではなく、描くことを通して次のステップが約束されるんだよ。
これがアートセラピー。
すてきだね♡♡♡

草間彌生は、描いたものを美に昇華し、
人々に感動を与える絵を最終的に描くことができた。
こういう人は本当に一握りなんだけど、絵を描くという行為が、
狂気を正気へと変え、命の躍動の瞬間瞬間をアートに変える
感動の画家にしたんだろうね。
草間彌生は幸いにして、1枚の作品が何千万円、何億円という評価を
得ているけど、その反面で、時代に乗せられてたくさんの絵を
描かせられている機械のような感じで痛々しくもあるね。
ルイ・ビトンとのコラボで、彼女を形どった彌生人形が
世界中の店舗で水玉模様と一緒に百数十体踊っているんだって。
時代の天才画家になりたい! と豪語して
つかみとった今のポジションだけど、
83才にして今も死の恐怖に襲われ、眠れず、
絵を描き続けなければならない
心境はたまらなく人間存在のせつなさを感じさせるね。
草間彌生が強迫神経症や不安神経症が治り、
症状がなくなったとしたら、どんな絵を描いたかな?
幸せのための絵を描いたかな?
または、絵を描かなくなったかもしれない。
なぜなら、狂気が治って幸せになると普通の絵に戻るからね。
おもしろくなくなっちゃうんだよ。
彼女は、今も狂気の中にいるけど、そんな選択肢もあったかもしれない、
なんて思ってしまいました。
すべての愛する人にカンパイ!!
そんな感動とせつなさを彼女の絵を通して感じているよ♡
それでは、また!
愛を込めて